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Series 9000/9050
9000系
車輌について
9000系は地下鉄有楽町線との直通用に昭和56年から製造された車両です。
基本的には8000系のコンセプトを踏襲しつつ、東武鉄道で初めてステンレス製車体を採用した形式です。
車体側面の幕板部と腰板部にコルゲート板が貼られており、全面は左右非対称で、運転台部分の窓が大きくとられています。前面の枠部分はステンレスでなくFRPで製造されています。
また、ロイヤルマルーンの帯を東武鉄道で最初に纏った形式でもあり、このあと10000系、20000系、30000系へと続く東武鉄道のステンレス車両のプロトタイプとなっています。

制御機器にはAFEチョッパ制御を採用しており、地下鉄線内の勾配に対応するためMT比は1:1でなく3:2となっています。
主に有楽町線、副都心線への直通で使用されますが、本線の優等運用などでも使用されます。
平成19年から副都心線開通に向けて量産車と9050系に更新修繕も兼ねた工事が実施され、スタイルが大きく変わりました。
第1編成
昭和56年に製造された9101Fは、東急、アルナ、富士重の3社によって合作と言う形で製造されました。
東武鉄道では初めて直流複巻電動機を用いたAFEチョッパ制御を採用し、東上線に投入の上各種試験を実施しました。
また、チョッパ制御を採用したことで回生ブレーキも使用できるようになりました。
車体は8000系と異なり1段式下降窓を採用したほか、自動行先表示器が最初に導入されたのもこの形式です。

平成9年に床下の制御機器を量産車と合わせるためにアルナ工機に回送の上改造が実施されました。
量産車と差異があるため副都心線対応改造や修繕工事は実施されておらず、主に有楽町線への直通運用や地上列車の運用を中心に使用されています。
(詳細な量産車との違いをまとめてあります)
量産車
 昭和56年に製造された9101Fは試作車として製造後に試験等を繰り返し、昭和62年の量産車の製造に反映されました。

量産車では9101Fと以下の点が変更されました。下線の項目について以下に紹介します。

・主制御器の素子を逆導通サイリスタからGTOサイリスタに変更(後に9101Fも同じものに交換)
・制御装置の素子の冷却方式をブロアによる強制風冷式から冷媒沸騰冷却式に変更
・パンタグラフ数減少(編成内で6基だったものを3基、M1車1両あたり1基搭載)
・ブレーキ制御装置を変更
・運転台機器類の無接点化
・側面方向幕位置を車端から中央へ移動
・ドア下の出っ張りを削除
・尾灯LED化
・座席幅の改良と、ドアの場所を若干変更(車端部の座席定員が4人→3人へ)
・空気圧縮機の変更(HBー2000CAをHS-20Cに)
・客室化粧板色の変更、ドアを無塗装から塗装仕上げに変更
・補助送風機(ラインデリア)設置による冷房室外機形状の変更をし、連続した形状に
(試作車は8000系と同様分散型のキセなのに対し、量産車は10030系同様連続型に)

目につくものを下記にまとめました。
試作車(第1編成)と量産車の差異
 
車内
試作車 量産車
車内は8000系最終増備車に準拠し、
床敷物がダークグレーになっています。
また、ドアエンジンが8000系と同様のものを採用
ドアは無塗装の下地むきだしです。
量産車は10000系の後期増備車に準拠しており、床敷物がらくだ色になっています。
ドアエンジンは変更されており、この後の形式にも採用されています。
ドアは化粧板が貼られています。
試作車は行先表示機が車端部に設置されています。
また、先頭車山側についてのみ、
行先表示機が設置されていません。
(しかし幕が汚れて見えない見えない・・・)
量産車は車体中央に設置されています。
パンタグラフの数
試作車についてはM1車にパンタグラフが2基搭載され製造されました。
その後、量産車と仕様をあわせる際に片方のパンタグラフが撤去されており、ヒューズボックスが残っているのが特徴です。
こちらは量産車、はじめから片パンタで製造されています。
先頭車のでっぱり
試作車では車端部2箇所に出っ張りが設置されています。
この出っ張りは10000系にも継承されています。
量産車は出っ張りが無くなり、一線となっています。
これ以降に製造された10030系はこの仕様となっています。
【試験導入】YouTube:9101Fのドア開動作動画
 
第8編成

▲ 修繕前の9108F

▲修繕後の9108F
(暗い写真で申し訳ないです…)
平成3年には運用増強のために9108Fが追加で製造されました。
この編成はそれまでの量産車と仕様変更されており、当時製造中だった10030系に合わせた仕様になりました。

具体的には車体形状がコルゲートからダルフィニッシュ仕上げとなったほか、補助電源装置がMGがSIVに変更され、編成内2両に搭載していたCPを4両に分散されています。
また、10030系は帯が通しで入っており、9000系と異なってドア部分にも帯が入っているのが特徴です。
また、ラジオ受信装置も設置され、車内も10030系と同様のものになっていました。
9050系

▲修繕前の9050系

▲ 修繕後の9050系
9050系は有楽町線の運用増強と有楽町新線開業対応用として平成6年から8年にかけて2編成が製造されました。
この形式は当時製造中だった日比谷線直通用の20050系と仕様が似ており、制御装置(東洋製GTOサイリスタ式VVVF)や自動放送装置、乗車促進装置、車外スピーカ、ドア上のLCD画面などは20050系と同様のものが設置されています。

車体は9108Fがベースなっていますが、前面の幕周りが紺から黒になったほか、クーラーは10030系の分散型クーラーの改良型のような形状のクーラーが3基搭載されています。後に20050系と同様LEC画面は撤去されました。
車内は白色の化粧板が採用され
モケットは茶色系になっています。
修繕車(9000系、9050系とも)
更新修繕
9000系も登場から20年経過し、平成18年から地下鉄副都心線への直通対応改造と併せ更新修繕が行われています。
作業は日本電装、日立製作所によって森林公園検修区で実施されています。
また、仕様を合わせるため9108Fと9050系も同様の更新修繕工事を実施しており、9101Fを除く全編成が修繕されました。
ここからは、未修繕車と修繕車の差異を中心にまとめてみたいと思います。
また、9000系には自動放送装置も設置されているほか、50000系に設置されている内容と同じ物になっています。
(9050系も同様のものとなり、音声が男声から女声に変更されています)

なお、制御装置の変更は行われておらず、9000系はAFEチョッパ、9050系はGTOサイリスタ式VVVFのままとなっています。
更新修繕における変更点
・表示機周辺の色変更(紺→黒)
未修繕車 修繕車
9000系では前面の運転台の幕回りは紺色から黒に変更されています。
また、種別、行先別になっていた幕式の案内装置から、フルカラーLEDの表示機に変更されています。
運番表示機もLED化されていますが、こちらは3色LEDとなっています。
・ライトユニット交換、HID化
未修繕車 修繕車
前照灯はライトユニットごと変更され、8000系に似た一体型のフレームで押える形状となっています。
また、ヘッドライトはHID、尾灯はLEDに変更され、ケースには熱戦ガラスが採用されているようです。
・行先表示機のフルカラーLED化
未修繕車 修繕車
行先表示機はフルカラー式LEDに変更されました。
また、種別も同時に表示されるものになっています、恐らく50070系と同様のもののようです。
(しかし、車両に号車ステッカーが貼られているため50000系列のような「●号車」と言う号車表示が出ません。
副都心線内では誤乗防止のために「東武東上線直通 東上線内各駅停車」の表示と、種別と行先を示す表示が交互に出ます。)
・運転台のワンハンドルマスコン化
未修繕車 修繕車
修繕の際に運転台は一新され、50070系に準じたグレーの室内になりました。
また、運転台のレイアウトは大きく変化し、ツーハンドル→ワンハンドル化をはじめ、大きく仕様が変更されています。
ワンマン運転用のドア監視モニターも目につきます。
車外スピーカも設置され、
その周辺のステンレス板も交換されたようです。
(9000系のみ)
号車番号ステッカーが設置されています。
50000系に似た形状のスカートが設置されました。 パンタグラフはシングルアームパンタグラフに。
車内
修繕車の車内です。以下、細かく見ていこうと思います。
未修繕車 修繕車
座席はバケットシート化され、モケット色も変更されています。
4-3のスターションポールを新設したほか、仕切りもポールから大型板に変更されています。
優先席部分も仕切り設置とバケットシート化、
モケット色変更が行われました。
すべての妻面に扉が設置され、
50000系に似たものになっています。
モハ9200、モハ9900の2か所に車いすスペースが
設置されています。
ドア横の手すりは黄色のものに変更されています。
どうやら種車のものを黄色に塗ったもののようです。
製造銘板のほか、更新修繕銘板も取り付けられました。 車両番号のプレート変更が行われています。
森林公園検修区で改造中の9000系
台車

TRS-86T(FS511T・量産車T車用)

TRS-81M(FS511B・試作・量産車M車用)

TRS-81T(FS011・試作車T車用)
9000系 車輌概要
使用路線 東上線、東京メトロ有楽町線
配置検修区 森林公園検修区
所属編成数 10連:8編成
製造業社名 アルナ工機、東急車輛、富士重工
制御方式 AFE主回路チョッパ制御
起動加速度 3.3km/h/s
減速度 3.7km/h/s(常用)
4.5km/h/s(非常)
歯数比 87:14 = 6.21
最高速度 110km/h(設計) 100km/h(営業)
9050系 車輌概要
使用路線 東上線、東京メトロ有楽町線
配置検修区 森林公園検修区
所属編成数 10連:2編成
製造業社名 アルナ工機、東急車輛
制御方式 GTOサイリスタ式VVVF制御
起動加速度 3.3km/h/s
減速度 3.9km/h/s(常用)
4.5km/h/s(非常)
歯数比 87:14 = 6.21
最高速度 110km/h(設計) 100km/h(営業)
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