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Series 8000(A) -製造年による変化-
  
約20年にわたり製造された8000系は、製造年次によりで細かな変化が見られます。まず、製造区分(○次車)での変更点を軽くまとめてみます。
・1次車 :8101F〜8127F、8501F〜8527F
昭和38年〜41年までの間に製造されたグループで、窓隅にRがあります。

・2次車 :8128F〜8151F、8528F〜8558F
昭和42年〜44年までの間に製造されたグループで、車体側板と台枠構造の溶接方法が変更されています。また、1次車にあった窓隅のRが無くなり直角となっています。
(1次車では台枠の裾まで側板を被せる構造だったものの腐食が目立ったことから台枠と側板を突き合わせる構造に変更しています)

・3次車 :8152F〜8155F、8559F〜8562F
昭和45年に製造されたグループで、乗務員室スペースが1513mmに拡張され、運転士側のみ客室側に乗務員室が出っ張る形となっています。

・4次車 :モハ8701〜モハ8714、モハ8801〜モハ8814
昭和46年、47年(サハ8714、モハ8814増備分のみ)に8101Fから8114Fまでの4連を運用増強のため6連とするために製造された中間車です。
MT比を1:1に統一するために4連+2連と編成の構成を同一にする必要があり、クハ8600に相当するサハ8700とモハ8500に相当するモハ8800をモハ8300とクハ8400の間に挟みこむ形になっています。また、車内保温の関係で、サハ8700の上り方には仕切戸が設置されています。

・5次車 :8156F〜8158F、8563F
昭和47年に製造されたグループで、新製時から6連で製造されています。また、冷房装置が設置され、屋上スペースの関係からパンタグラフがPT42から小型のPT48に変更されています。その他大型の補助電源装置(MG)が取り付けられたほか、乗務員室スペースが1333mmに変更され、客室と乗務員室間の仕切りが平面となりました。

・6次車 :8159F〜8163F
昭和48年に製造されたグループで、設計上に変更は無いものの、サハ8700のコンプレッサーがHB-2000CAに変更されています。(モハ8300のコンプレッサーはC-2000Nのまま)

・7次車 :8164F〜8166F、8564F〜8568F
昭和49年に製造されたグループで、モハ8300のコンプレッサーもHB-2000CAとなりました。また、雨どいの形状も変更されているほか、新製時に塗装がツートンからセイジークリーム一色になっています。
※昭和50年度には8000系は製造されていません。

・8次車 :8167F〜8172F、8569F、8570F
昭和51年に製造されたグループで、妻引き戸と側扉が鋼製からステンレス製(室内側は無塗装)に変更されています。
また、8次車以降の製造分は台車がS形ミンデン台車に変更されています。

・9次車 :8173F〜8181F
昭和52年に製造されたグループで、東上線での輸送量増強のため、8000系では初の8連として新製されています。
編成内にモハ8200-モハ8300のユニットが2ユニット入っており、編成内で番号が+1されているため、編成番号は奇数のみとなっています。(新製時のみ)

・10次車 :8183F〜8189F、8193F〜81101F、8191F
昭和53年から54年にかけ製造されたグループで、8191F以外は8連で製造され森林公園検修区に新製配属されています。8191Fのみ本線増強用として4連で製造されましたが、8連の製造が始まったときから上り方先頭車は奇数という決まりがあり、空き番号となった8192Fは昭和55年の11次車製造のときまで欠番となっています。

・11次車 :81103F、81105F、8192F
昭和55年に製造されたグループで、ドア押さえが黒ゴム押さえからアルミ枠による支持方法に変わっています。修繕工事実施時に黒ゴム押さえの編成もアルミ枠支持に交換されていますが、こちらはアルミ自体が露出する形状になっています)

・12次車 :81107F〜81110F、8571F〜8573F
昭和56年に製造されたグループで、補助電源装置(MG)がBLMG(CLG-703:140kVA、CLG-704:75kVA)に変更されています。なお、81107F〜81109Fは4連、81110Fは6連で製造されています。諸説ありますが、この12次車で採用されたBLMGが秩父線内の地上機器に誤作動を起こすと言う話もあります

・13次車 :81111F〜81120F、8574F〜8580F
昭和57年から58年にかけ製造されたグループで、ドアレールの形状が変更されています。13次車を持って8000系の製造が終了したことになります。
このグループは81111F、81112F、81118F〜81120Fが4連、81113F、81114F、81117Fが6連、81115Fが8連で製造されています。

それでは、細かく写真で見ていきましょう
【1次車】窓隅の処理方法
1次車までは窓の隅がR状になっています。
これ以降に製造された2次車以降の編成はすべて隅が角ばった状態になっています。

△1次車(8127F、8527F)の隅にRのある窓

△2次車以降の隅にRのない窓
【8次車】台車形状の変化
7次車まではFS356・056台車を使用していますが、
スペースと重量の問題からそれ以降の編成はFS396・FS096(ミンデン)の台車が使用されています。

TRS-62T(FS056・T車用)


TRS-62M(FS356・M車用)
△7次車までの編成が履いているFS356・FS056台車

TRS-75T(FS096・T車用)
写真の台車はセラジェット(増粘着噴射装置)が設置されています。

TRS-75M(FS396・M車用)
△8次車以降の編成が履いているFS396・FS096台車
【11次車】扉のガラス押さえ形状の変化
8101F〜81101F
8501F〜8570F
ドアのガラス押さえがステンレス枠が露出した押さえになっています。
元々黒ゴム押さえだった編成は、修繕工事の際にこのステンレス枠に交換されています。
81103F〜81120F
8571F〜8580F
11次車以降はドアのガラスの押さえがHゴムからアルミ枠式に変更されています。
外観ではアルミサッシが見えない形となり、すっきりとしたデザインとなりました。
また、5050系や5070系などはこのタイプのドアを採用しています。
【8次・9次車】扉の塗装方法変更
8101F〜8166F
8501F〜8568F

7次車までのドアは鋼製となっており、車内は塗装仕上げとなっています。
窓ガラスはシーリングで抑えられており、ガラスとアルミ枠の間にシーリングが入っています。
未更新車、更新車とも車内の化粧板と同じ色に塗装されています。
修繕車はクリーム色となっており、未修繕車はらくだ色となっていました(現在は消滅)

8167F〜8172F
8569F〜8570F

昭和51年(8次車)に製造された編成はドアがステンレス製になり、車内側は無塗装仕上げとなりました。

8次車はステンレス製ドアにも関わらず、ガラス押さえがステンレス枠剥き出しの形状となっています。
(近くで見ないとわかりませんが、ドアのガラス抑えが7次車と同様、シーリングで抑えられています)

【クリックで別の画像に変わります】
8173F〜81120F
8571F〜8580F



昭和52年(9次車)以降の編成はドア押さえがステンレスヘアライン仕上げとなり、ガラス支持部がすっきりしています。




冷房化
 昭和48年から昭和59年まで、非冷房で登場した8155F、8562Fまでの編成についても冷房化工事が行われ、工事は西新井工場(津覇車両)で実施されましたが、当時3000系の更新修繕も西新井工場で行っていたため、工場の容量の都合上から一部編成は尼崎のアルナ工機まで回送され工事を実施した編成もあったようです。

 冷房化の際にパンタグラフの形状変更(下枠交差式)やBLMGの追設、変更や保安ブレーキを搭載するなど、
新製した冷房車と同様の設備まで改造されています。

なお、冷房化に際して取り外されたベンチレータやパンタは5000系列の更新の際に再利用されました。
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