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Series 6050


車両について
 6050系は昭和60年に野岩鉄道の開通と会津鉄道との乗り入れに向け、それまで日光線の快速で使用されていた6000系を更新した車両です。

 6000系とは昭和39年に登場した日光線の3210系などの旧型車の置換え用に製造された車両で、先行して製造されていた8000系をベースとして長距離列車用に2扉の車体を採用、車内はクロスシートを採用しています。
また2両一組とすることで短編成から長編成まで柔軟に運用を組むことが出来ます。

それとともに、最高速度の向上をするとともに、駅間距離が長く、最大勾配25‰と勾配の多い日光線用に抑速ブレーキを装備したほか、電動機を永久直列接続で使用し、発電ブレーキ使用時の電動機への負担を軽減するような設計がされています。
制御装置は発電制動付きの多段式カム軸接触式で、力行側が直列18段の弱め界磁6段、発電側が全界磁18段で、これを4基直列で制御しています。電動機は8000系のユニット車と同型のTM-63を採用しています。

台車はミンデンドイツ型のFS057/357(東武形式:TRS-63M/63T)が採用されています。
8000系のFS056/356をベースとしており、高速運転用に上揺れ枕と横梁間にオイルダンパが設置されている点と、M車用のTRS-63Mは8000系用のTRS-62Mのブレーキユニットが片抱き式に変更された点が異なります。

昭和61年の野岩線計画時に、計画では6000系を改造して投入する予定でしたが、野岩線で長大トンネルが多数存在しながら非冷房であったことと、車体の耐久年数や設備面で20年程度経過していたこと、寒冷地対応が必要であることなどから、6000系から機器を流用し、車体を新製する形で6050系が誕生しました。

 車体はジャスミンホワイトのボディにパープルルビーとサニーコーラルオレンジの帯を配したデザインとなっており、前面窓周辺を黒く縁取るスタイルを採用しています。ドアは各車2カ所に設置され、一段下降窓が設置されています。

このデザインは6050系が初採用で、その後の8000系修繕車や10030系などに繋がるもののベースとなった形式です。
 また、冷房装置を客室用3基(RPU-3002・10500kCal)と乗務員室用1基を(2250kCal)を搭載し、スイーブファンも設置されています。

 はじめに、昭和60年から61年にかけて。6000系の機器を流用した1次車(6151F〜6172Fまでの22編成)が製造されます。
台車、電動機、コンプレッサーを流用、主抵抗器、制御器に関しては新品に交換されています。制御装置は寒冷地用のため無接点化が図られています。
また、冷房装置の電源用に補助電源装置のブラシレスMG(CLG-703・75kVA)がクハ6250に設置されています。
6050系については寒冷地用のカバーが設置されています。

また、昭和60年に修繕工事の際の編成不足を補うため2編成が製造されます。この編成から6000系の機器流用ではなく完全な新製車として製造されました。この編成は野岩鉄道に譲渡扱いとして6050系100番台として製造された編成で、61101Fと61102Fとして活躍しています。
(譲渡扱いとなっているのは、野岩や会津側での車両新製時の手続きの手間とコストなどを簡略化するためで、後の会津鉄道用の61201Fも同様の製造形態となっています。その後に製造された野岩の61103Fはこの方式ではなく、野岩側からの新製扱いで製造されています)

 昭和63年に野岩、会津鬼怒川線が開通すると予想以上の人手のため、8000系を用いて臨時快速が運転されるほどとなり、
運用増強のために2次車として6173F〜6179F、61103Fが、平成元年に会津鉄道が会津田島まで延伸した際に61201Fが製造されました。

 2次車以降の編成は機器が6000系からの流用でなく新品となっており、特に台車がSUミンデン式のFS029/529(東武形式:TRS-882M/882T)となっており、軸受が密閉式となっています。
(基本的にはM車、T車とも台車は片抱き式ですが、野岩所属の61101F・61102Fのクハ62200のT台車のみブレーキユニットが両抱き式となっているFS096のような台車となっています)

 現在は日光線の快速、区間快速のほか、特急連絡列車、日光線、野岩鉄道のローカル各停運用を受け持っています。
数少ない運用として、快速や区間快速の間合いとして浅草〜北千住間の普通列車や、下り区間急行にも充当されます。

平成2年までは快速急行として使用されていましたが、300系列に置き換えたために消滅、その後も尾瀬夜行、スノーパルも6050系で運転されていましたが、300系化されました。

霜取りパンタの設置
平成13年に日光線、宇都宮線のローカル運用が5050系(日光線用)から6050系に変更され、早朝の運用時に架線に霜が付着し、集電不良防止のため、モハ6150に霜取りパンタグラフを増設する工事が6153〜56、6173〜75Fに実施されています。
(6175Fは平成19年頃に一度増設工事をしたものの、数か月程度パンタグラフを撤去した状態で運用していた時期があるようです)

霜取りパンタは11月15日から4月15日までの限定した期間に限って上げた状態で運用し、それ以外の期間は降下した状態で使用されます。運用は特に固定されていませんが、早朝の運用に重点的に使用されているようです。
会津、野岩所属車両
先述の通りですが、6050系と同型の車両が野岩鉄道と会津鉄道に所属しています。
東武車と区別するため5桁の車両番号となり、野岩鉄道では60100系、会津鉄道では60200系と呼称されています。
この車両は各社の社紋が側面の車両番号部分の入れられており、そこから区別することができます。

野岩鉄道の60100系は3編成が在籍し、昭和60年、61年に6000系からの更新工事の予備車として61101F、61102Fが製造されました。この編成は東武籍で製造の上、野岩線開業と同時に野岩鉄道に譲渡されました。
その後63年にも61103Fが製造され譲渡されています。

会津鉄道の60200系は平成元年に会津鉄道野岩鉄道と直通運転開始時に自社発注した車両です。
こちらも6050系と同型となっていますが、側扉形状が他車と異なっています。

これらの車両は東武車と運用上の区別は無く、また検査等も新栃木出張所で行われています。

野岩鉄道車の車両番号

会津鉄道車の車両番号
車内
車内はオパールホワイトカラーの化粧板を用い、また天井はミルキーホワイトの化粧板を使い、明るい印象になっています。
また、床敷物は通路部分のみマーブル模様を配しています。

座席はクロスシートで構成されており、出入り口付近のみ2人掛けのロングシートが設置されています。
クロス部のシートピッチは1525mmとなっており、6000系時代より大きくなっています。(6000系は1480mm)
座席は腰掛け部が一人一人で独立する形となっているほか、肘掛部分にも布地が貼られています。

テーブルは小型のものが設置されており、その下に可動式の折りたたみテーブルが設置されており、広げるとかなり大型となります。

また、2両単位で運転する6050系は、途中駅での切り離しをすることが多々あるため、誤乗を防ぐために運転台後部の客室側に行先表示器が設置され、列車の行き先が表示されるようになっています。
また放送装置も2連単位で使用できるようになっています。
車端部の2人掛け座席 ボックスシート
増備時期によって座席背面のモケットのふくらみが変わる。
折り畳み式のテーブル、手ばさみの注意喚起の
ステッカーが貼られている。
運転台後部に設置されている行先表示器
(上段が東武日光行・下段が会津高原尾瀬口行)
クハ6250には和式便所が設置されており、鍵が掛かることで使用中のランプが点灯します。
反対側は立席スペースとなっており、くずかご、通報ボタンが設置されています。
634系(スカイツリートレイン)
634系は、平成24年のスカイツリー開業に合わせてJ-TRECで改造された観光用車両です。
6050系の6177Fと6178Fを改造の上、それぞれ634-11F(青空)・634-21F(朝焼け)となっています。
車内は座席がレール方向に向いた展望席となっており、またスカイツリーが眺められるように展望窓が新たに設置されています。
また、売店、サロン、荷物置場設置のため運転台次位のドアが海側は側窓に、山側は完全に埋められているほか、クハ634-22、634-22号車の便所が車いす対応となったため、海側の便所横のドアが移設されています。また、便所屋根上に設置されていた通口は撤去されています。
このほか、展望座席設置に伴い行先表示装置が車端部に移設され、フルカラーLEDとされているのも特徴です。
 
サロン席設備増設のため側窓となった運転台次位の扉
車いす対応の大型便所が設置されたため移設されたドア。
山側にドアがないため見分けることができる。
また、行先表示装置もフルカラーLED化されている。
便所上に設置されていた通風口は撤去されている。 荷棚増設のため埋められた運転台次位の扉
雨樋と展望窓、ベンチレータの関係。ベンチレータは残存しており、これを回避するように雨樋が設置されている。
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